保育者向け研修会の運営について

 

このページでは研修会の運営を行うために必要な情報を入れました。業務の軽減にお役に立てば幸いです。

 

 

講師への依頼・連絡

①講師への依頼は電話やメールで行います。電話を好む講師と、メールを好む講師に分かれます。

②日時、対象者、テーマ、依頼したい理由を伝え、了解が得られたら、運営の詳細を決めます。

③講師依頼状(必要な場合は講師派遣依頼状)を送付します。

④前日には、確認のメールまたは電話を入れます。

 

*複数の担当者から連絡をすることは避けます。

*年度替わりで担当者が変わる場合は、それまでのメールを転送し、そのメールを引き継ぎ、前任者とのやりとりをメールを入れて、次の担当者が連絡をします。

講師派遣依頼状・講師依頼状

講師派遣依頼書(状)・講師依頼書(状)は、講師に送付する場合と、講師の所属機関(大学等)に送付する場合があります。以下に参考となるテンプレートを入れました。

ダウンロード
講師派遣依頼状と講師依頼状(ホームページ用).pdf
PDFファイル 86.0 KB

当日の運営について

研修も、保育と同様に環境の構成が8割です。

どんなにいい講師を招いても、写真が見えにくい会場では効果が半減します。

会場の設営では、以下のようなことに気をつけることができます。

 

会場設営

①椅子の配置は、受講者の全員からスライドや講師が見えるようにする。座ってみて確認する。

椅子は、ゆったりと気持ちよく座れる位置、距離に配置する。

 

②講師の演台は、講師から全員が視野に入る位置に設定する。

 

③マイクの音声、照明の明るさは、受講者が来る前に確認する。講師がスライドを使用する場合、手元が暗くなりすぎない照明を確認する。照明係は決めておき、講師と事前に照明について打ち合わせる。

 

④受講者が気持ちよく受講できる物的環境をつくる。演台の豪華な花にお金をかけたり講師にお土産を準備するより、受講者にお弁当、おにぎり、チョコレートやお茶等を配る。荷物が多い時期にはコート置きや荷物置きの机を準備する。

 

⑤園ごとの場所の指定は行わない。ペアワークやグループワークの際の効果が下がる。

 

 

受講者への配慮

①受付が肝心。夜間の研修で仕事が終って走りこむ保育者ほど、受付者のねぎらう気持ちは伝わる。

 

②運営者は寒さ・暑さに留意し、こまめに冷暖房の調整をする。

 

③役員でも市長でも受講者の方を向いて横向きに座る人はゼロにする。演習やグループワークには、役員も全員が参加する。

 

 

継続的な学びにつなげる工夫

①研修を受講し「いい話を聞いた、おしまい」では、翌日からの保育は変わりにくい。専門職の研修で、本を持ち帰れない研修は効果が薄まる。受講者が、翌日から研修内容を継続的に学べるように、書籍と出会える環境をつくる。講師の本だけではなく、テーマに関連した本を運営担当が持参して展示することや、専門書店に販売に来てもらうなどして、保育者が継続的に学べる環境をつくること。本を持ち帰らない研修は、研修とは言い難い。書籍販売を「営利活動」と捉える公共施設には、担当課に働きかけて規程を変えてもらうこと。

 

②環境の研修では、手作り玩具の展示、各園の環境の写真の掲示、模擬保育室の展示、玩具の展示を行う団体もある。運営者の熱意が参加者にも講師にも伝わり、講師も熱のこもった講義になりやすい。

 

③営利目的の店舗が販売に来る研修では、研修効果が薄まる。指針や要領とは異なる専門性の低い書籍や絵本を保育者が持ち帰ると保育の質は下がり、研修会の目的に反する。研修では、販売する本や商品の質は、研修運営者がマネジメントする。

 

講師への配慮

①講師控室では打ち合わせを終了した後には、開始直前までは講師を一人にし準備ができるように配慮をする。

 

②質問者を当番園で事前に用意しない。質問がないことよりも、事前に準備した質問をして、本当に質問したい人が質問できないことが問題である。事前準備の質問は講師には分かる。

 

 

運営NG集~講師から聞いたエピソード

失敗は、印象に残りますので、ご参考までに。

 

びっくり1 「先生あそこのマンションに住んでいるんですね」・・・研修担当者の口コミで住所が知れ渡っていました。

 

びっくり2 「前日にUSBを渡してデータチェックをしていただきましたが、当日演台に立ったら、パワーポイントソフトが入っていないのです。近くの園からパソコンをもってきてもらうまで20分かかりました」・・・研修用パソコンにはDVD、パワーポイントは必須です。

 

びっくり3 「学長宛てに直接講師依頼状を送付され、学部に転送されてきました。講師派遣状には、かわいいうさちゃんとお花のイラストが載っていて真っ青になりました」・・・保育の常識は、社会の常識とは異なる場合があります。

 

びっくり4 「控室がなく、廊下で前の講師の話がおわるまで立ったまま待っていました。企業で自前の講師ばかりなので、そこでは講義中に水も出ません」・・・自分で、自動販売機でお茶を買ったそうです。

 

びっくり5 「連絡担当者からのメールには、ハートマークや絵文字が・・・。お友達ではないのですが」

 

びっくり6 「パソコンが、スライドを向く方向に設置されていました。講師席は受講者に背中を向けて座るように設置されていました。驚くと『これまでの講師は皆さんこれで話をされました』」・・・そんな講師は呼ばないようにしましょう。

 

ざんねん1「企業委託の研修会、30分前に会場も受付もできておらず、一日研修なのにぎゅうぎゅう詰め、受付で『レジュメをとってください』」と受講者に投げつけるように言う受付担当者。営利で研修委託を受けたことが見えすぎて辛かった」・・・企業でも保育への思いをもって運営しているところもあります。

 

ざんねん2 「研修の最後に市の行政担当者が前に立ち、『今日は私用でこの研修には参加できなかったのですが・・・』と関係ない私用の話を蕩々としていました」・・・行政担当者が、最初から最後まで熱心に勉強している地域もあります。

 

ざんねん3 「研修で、『対話的で深い学びを援助できる私たちになりましょう』と5時間の講義や演習を行いました。その後の交流会はグループ別競争ゲームで大騒ぎが2時間。食事も会話もできませんでした。毎日、保育者にあおられ、動かされ、主体性を発揮できない子どもの気持ちがよくわかりました」・・・講師として、研修の上書きほど悲しいことはないです。

 

ざんねん4 「キャリアアップ研修会で、保育者がディズニー音楽の合奏の練習をさせられていました。その講師の話は自分の子育ての話でした」・・・講師は、本やネットの情報を調べて探しましょう。

 

ざんねん5 「電話での講師依頼からはじまり、2か月で20通以上のメール。研修まであと4か月もあるのに」・・・フェイスブック等のやりとりに慣れていると多くなりがちです。要件はまとめて送りましょう。